1: 海江田三郎 ★ 2015/11/09(月) 13:14:35.09 ID:???.net
http://thepage.jp/detail/20151107-00000003-wordleafv
今年5月のある晩、東京の自宅でパソコンをいじっていたら、見知らぬ青年から突然、こんなフェイスブックのメッセンジャーが届いた。
「こういう本を出しています! 安倍総理にもご一読いただきました」と勢いがいい。
『寝たきりだけど社長やってます』(彩図社)というタイトルで、要は自著を読んで欲しいという“セールス”。
メッセージの主は愛知県東海市で名刺とウェブサイト制作をしている会社「仙拓」の社長、佐藤仙務(ひさむ)さん(24)だった。
10万人に1人の難病「SMA」
「寝たきり社長」とはどういうことかと、その場で佐藤さんのことをネットで調べてみると、生後間もなくSMAと診断され、
ずっと寝たきりの生活をしているらしいことが分かった。SMAというのは、脊髄性筋萎縮症のことで、筋肉を動かす神経に問題があり、
体を動かせず、筋肉が萎縮してしまう病気だ。似たような病気にALS(筋萎縮性側索硬化症)がある。
「乳児期から小児期に発症するSMAの罹患率は10万人あたり1から2人」(難病情報センター)だといい、佐藤さんはこの一人だったというわけだ。
佐藤さんの本は、いわゆる“闘病記”ではなかった。障がいを乗り越えて、会社を設立していく1人の青年の成長譚(たん)でもあり、
会社を経営していくなかで働くことの意味や障がい者と世の中との関わりを問う内容でもあった。
体も頭も動くのに、自分自身に負けてしまうことがどれだけ多いことか。この本には、随分、励まされた。
寝たきりの社長をITが支える
佐藤さんとのインタビューが実現したのは、半年後の11月。アパートを間借りした「仙拓」のオフィスを尋ねた
。佐藤さんは、部屋に置かれた特製のベッドに“着席”している。体は仰向けで、見上げた先にはパソコンのディスプレイがある。
ウェブカメラもついていて、こちらはスカイプ(ネットの通話ソフト)などで使う。エアコンやDVD、部屋の照明もここから操作できるらしい。
佐藤さんは体の自由がほとんど利かない。話すことはできるが、わずかに動くのは右手と左手の親指だけ。佐藤さんの体に合わせて、
父親が入力デバイスを作ってくれた。右の親指でトラックボールを操作し、左の親指で左クリックを押している。
文字の入力は、ディスプレイ上のスクリーンキーボードを使い、パソコンを操作する。『寝たきりだけど社長やってます』はこうやって書かれた。
「この状態で文章を書くのはさぞ大変だったでしょう?」と聞くと、「そうでもないですよ」と言って、テキストエディタを立ち上げ、
ソフトウエアキーボードで文字を打っていく。予測変換機能や学習機能は大したもので、「お」と入れれば「お世話になります」が
候補にあがってくるなど、自分がよく使う単語はもちろん、辞書登録していない言葉まで候補に出てくる。
「Google日本語入力を使っています。これを使うと、ほかの入力ソフトは使えないですね」と、どんどん文字を入力していく。
ブラインドタッチのように速いわけではないが、慣れない高齢者がキーボードを打つスピードより速い。
佐藤さんの仕事を支えているのは、このパソコンだ。業務用のメールを打つのをはじめ、領収書や請求書の処理まで
ここでやってしまうし、ネット経由の“飛び込み営業”までこなしてしまう。こうしたITが、重度障がい者の社会進出を支えていることを目の当たりにすると、
本当に良い時代になったなと心から感じる。佐藤さんも「パソコンの向こう側にいる人たちには、僕が障がい者だとは分かりませんよ」と笑う。
(中略)
今年5月のある晩、東京の自宅でパソコンをいじっていたら、見知らぬ青年から突然、こんなフェイスブックのメッセンジャーが届いた。
「こういう本を出しています! 安倍総理にもご一読いただきました」と勢いがいい。
『寝たきりだけど社長やってます』(彩図社)というタイトルで、要は自著を読んで欲しいという“セールス”。
メッセージの主は愛知県東海市で名刺とウェブサイト制作をしている会社「仙拓」の社長、佐藤仙務(ひさむ)さん(24)だった。
10万人に1人の難病「SMA」
「寝たきり社長」とはどういうことかと、その場で佐藤さんのことをネットで調べてみると、生後間もなくSMAと診断され、
ずっと寝たきりの生活をしているらしいことが分かった。SMAというのは、脊髄性筋萎縮症のことで、筋肉を動かす神経に問題があり、
体を動かせず、筋肉が萎縮してしまう病気だ。似たような病気にALS(筋萎縮性側索硬化症)がある。
「乳児期から小児期に発症するSMAの罹患率は10万人あたり1から2人」(難病情報センター)だといい、佐藤さんはこの一人だったというわけだ。
佐藤さんの本は、いわゆる“闘病記”ではなかった。障がいを乗り越えて、会社を設立していく1人の青年の成長譚(たん)でもあり、
会社を経営していくなかで働くことの意味や障がい者と世の中との関わりを問う内容でもあった。
体も頭も動くのに、自分自身に負けてしまうことがどれだけ多いことか。この本には、随分、励まされた。
寝たきりの社長をITが支える
佐藤さんとのインタビューが実現したのは、半年後の11月。アパートを間借りした「仙拓」のオフィスを尋ねた
。佐藤さんは、部屋に置かれた特製のベッドに“着席”している。体は仰向けで、見上げた先にはパソコンのディスプレイがある。
ウェブカメラもついていて、こちらはスカイプ(ネットの通話ソフト)などで使う。エアコンやDVD、部屋の照明もここから操作できるらしい。
佐藤さんは体の自由がほとんど利かない。話すことはできるが、わずかに動くのは右手と左手の親指だけ。佐藤さんの体に合わせて、
父親が入力デバイスを作ってくれた。右の親指でトラックボールを操作し、左の親指で左クリックを押している。
文字の入力は、ディスプレイ上のスクリーンキーボードを使い、パソコンを操作する。『寝たきりだけど社長やってます』はこうやって書かれた。
「この状態で文章を書くのはさぞ大変だったでしょう?」と聞くと、「そうでもないですよ」と言って、テキストエディタを立ち上げ、
ソフトウエアキーボードで文字を打っていく。予測変換機能や学習機能は大したもので、「お」と入れれば「お世話になります」が
候補にあがってくるなど、自分がよく使う単語はもちろん、辞書登録していない言葉まで候補に出てくる。
「Google日本語入力を使っています。これを使うと、ほかの入力ソフトは使えないですね」と、どんどん文字を入力していく。
ブラインドタッチのように速いわけではないが、慣れない高齢者がキーボードを打つスピードより速い。
佐藤さんの仕事を支えているのは、このパソコンだ。業務用のメールを打つのをはじめ、領収書や請求書の処理まで
ここでやってしまうし、ネット経由の“飛び込み営業”までこなしてしまう。こうしたITが、重度障がい者の社会進出を支えていることを目の当たりにすると、
本当に良い時代になったなと心から感じる。佐藤さんも「パソコンの向こう側にいる人たちには、僕が障がい者だとは分かりませんよ」と笑う。
(中略)
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