1: 海江田三郎 ★ 2017/03/10(金) 09:28:25.72 ID:CAP_USER.net
http://toyokeizai.net/articles/-/162022
「やってる感」で高い支持率をキープしていると揶揄される安倍晋三政権。このところ首相がご執心なのは、働き方改革のようである。
この点に関連して、大和総研の溝端幹雄主任研究員が最近、興味深い分析を行っている。働き方改革の一環として雇用の流動化を進めれば、
持続的な経済成長につながるのか、という問題である。
あらためて指摘するまでもなく、日本経済は長らく低成長にあえいできた。1960年代に年率10%を超えていた
実質GDP(国内総生産)成長率は、1990年代に1.5%、2000年代には0.6%まで落ち込んでいる。
2010年代は1%超までやや上向いたものの、安倍政権の掲げる実質2%の成長率を達成したのは、近年では2010年度と2013年度くらい。
実際は生産性の低い業種に雇用が流れている
年金や医療の財源を安定的に賄っていくうえで、少しでも高い成長は欠かせない。成長率を高めるため、
これまでさまざまな提案がなされてきた。もし雇用の流動化を進めると成長率が高まるのであれば、十分検討に値する。
労働者という立場で考えた場合、気になるのは、雇用が流動化して賃金が増加するのか、それとも減少するのかだろう。
「雇用動向調査」を使って年齢階級別に分析したところ、20~30代では転職後に賃金が増加する人の割合のほうが高いが
、特に男性は40代後半以降、減少する人のほうが多くなる。
雇用の流動化の観点からより興味深いのは、どの業種に人が流れているかである。
業種ごとに過去1年間に離職した人の前職を転出、現職を転入として、その差(転入-転出)を2010年から2016年の平均値で見ると、プ
ラスは「医療、福祉」や「農業、林業」「学術研究、専門・技術サービス業」など。
マイナスは「宿泊業、飲食サービス業」を筆頭に、「製造業」「卸売業、小売業」などが並んでいる。
もちろん、宿泊業から医療、福祉分野へ直線的に人々が流れているわけではないが、全般的に見て、
人々は宿泊業や製造業から離れ、医療、福祉分野や農業などに流れ込んでいる。
しかし、医療、福祉分野は成長産業だが、生産性は低いとされている。逆に、生産性の高い業種の代表格は製造業だ。
皮肉なことに、生産性の高い業種ではなく、成長力のある業種へ人が引き寄せられていることがわかる。
溝端氏は「雇用流動性は、業種間の年収(労働生産性)の相違というよりも、むしろ相対的な労働需要の多寡に応じて高まりやすいことがわかる」
と指摘している。つまり、医療や福祉は賃金が相対的に低く、転職後の賃金減少が予想されるのに、
慢性的な人手不足で労働需要が非常に強いので、流動化した労働者を引き付ける結果となっている。
政府の想定は生産性の高い業種に雇用が移ること
そもそも雇用の流動化はなぜ必要なのだろうか。
雇用流動化論が想定しているのは、生産性の低い産業や企業から、生産性の高い産業や企業に人々が移れば、
経済全体の成長率も高まるというメカニズムである。
実際、政府の働き方改革実現会議に塩崎恭久・厚生労働相が提出した資料(2016年11月16日付)には、
「労働移動が盛んな国ほど生産性が高い」と書かれている。そして、「成長企業が成熟企業の離職者を雇い入れた場合、助成金を割増」
する形で見直すことが提案されている。
しかし、九州大学の今井亮一准教授は2013年に出した論文の中で、「労働生産性の高い産業に雇用が移動するなどという
都合よいメカニズムは存在せず、それをあえて促進しようという政策論は持続可能性の点で疑問符が付く」と指摘している。
(続きはサイトで)
「やってる感」で高い支持率をキープしていると揶揄される安倍晋三政権。このところ首相がご執心なのは、働き方改革のようである。
この点に関連して、大和総研の溝端幹雄主任研究員が最近、興味深い分析を行っている。働き方改革の一環として雇用の流動化を進めれば、
持続的な経済成長につながるのか、という問題である。
あらためて指摘するまでもなく、日本経済は長らく低成長にあえいできた。1960年代に年率10%を超えていた
実質GDP(国内総生産)成長率は、1990年代に1.5%、2000年代には0.6%まで落ち込んでいる。
2010年代は1%超までやや上向いたものの、安倍政権の掲げる実質2%の成長率を達成したのは、近年では2010年度と2013年度くらい。
実際は生産性の低い業種に雇用が流れている
年金や医療の財源を安定的に賄っていくうえで、少しでも高い成長は欠かせない。成長率を高めるため、
これまでさまざまな提案がなされてきた。もし雇用の流動化を進めると成長率が高まるのであれば、十分検討に値する。
労働者という立場で考えた場合、気になるのは、雇用が流動化して賃金が増加するのか、それとも減少するのかだろう。
「雇用動向調査」を使って年齢階級別に分析したところ、20~30代では転職後に賃金が増加する人の割合のほうが高いが
、特に男性は40代後半以降、減少する人のほうが多くなる。
雇用の流動化の観点からより興味深いのは、どの業種に人が流れているかである。
業種ごとに過去1年間に離職した人の前職を転出、現職を転入として、その差(転入-転出)を2010年から2016年の平均値で見ると、プ
ラスは「医療、福祉」や「農業、林業」「学術研究、専門・技術サービス業」など。
マイナスは「宿泊業、飲食サービス業」を筆頭に、「製造業」「卸売業、小売業」などが並んでいる。
もちろん、宿泊業から医療、福祉分野へ直線的に人々が流れているわけではないが、全般的に見て、
人々は宿泊業や製造業から離れ、医療、福祉分野や農業などに流れ込んでいる。
しかし、医療、福祉分野は成長産業だが、生産性は低いとされている。逆に、生産性の高い業種の代表格は製造業だ。
皮肉なことに、生産性の高い業種ではなく、成長力のある業種へ人が引き寄せられていることがわかる。
溝端氏は「雇用流動性は、業種間の年収(労働生産性)の相違というよりも、むしろ相対的な労働需要の多寡に応じて高まりやすいことがわかる」
と指摘している。つまり、医療や福祉は賃金が相対的に低く、転職後の賃金減少が予想されるのに、
慢性的な人手不足で労働需要が非常に強いので、流動化した労働者を引き付ける結果となっている。
政府の想定は生産性の高い業種に雇用が移ること
そもそも雇用の流動化はなぜ必要なのだろうか。
雇用流動化論が想定しているのは、生産性の低い産業や企業から、生産性の高い産業や企業に人々が移れば、
経済全体の成長率も高まるというメカニズムである。
実際、政府の働き方改革実現会議に塩崎恭久・厚生労働相が提出した資料(2016年11月16日付)には、
「労働移動が盛んな国ほど生産性が高い」と書かれている。そして、「成長企業が成熟企業の離職者を雇い入れた場合、助成金を割増」
する形で見直すことが提案されている。
しかし、九州大学の今井亮一准教授は2013年に出した論文の中で、「労働生産性の高い産業に雇用が移動するなどという
都合よいメカニズムは存在せず、それをあえて促進しようという政策論は持続可能性の点で疑問符が付く」と指摘している。
(続きはサイトで)
【「雇用の流動化で生産性が上がる」という勘違い、なぜ転職すると賃金が下がるのか】の続きを読む